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株式会社泰心

  • 設立:2014年
  • 従業員:10名
  • 得意分野:苺の生産加工販売・公園遊具の設置工事や保守・信書便の数少ない許認可を受けた運送・看板の製作施工
イチゴだけじゃない!多角的経営で目指す 地域に無くてはならない会社へ

苺農家に、公園遊具の設置、運送事業から看板制作まで!

関ケ原のイチゴでおなじみ、Strawberry Farm 苺福としても有名な株式会社泰心を訪問し、代表取締役の牧田匡信さんにお話しをお聞きしました。

Strawberry Farm 苺福と聞けば、関ケ原の人は誰でも知っている美味しい苺の生産農家。関ケ原ブランドにも認定されていて、岐阜の有名スイーツ店プルシックが監修した苺プリンは人気の商品です。
 その苺福を運営するのが今回ご紹介する株式会社泰心です。この会社、実は多岐にわたる事業部門があるスゴイ会社!
よく知られた苺の生産加工販売部門以外にも、公園遊具の設置工事や保守を得意とする土木工事部門、信書便の数少ない許認可を受けた運送部門、さらに看板の製作施工を行う看板部門を含め4部門を経営するスーパー多角的企業なのです!
 今回はそんな泰心の多角化の成功の秘訣について迫ってみたいと思います。

社長自身は元トラック乗り 泰心物流として個人事業を経営

牧田さんは学校卒業後、建設会社で型枠職人として働いたり、鉄工会社へ移り溶接工として働いたり、いろいろな職を経験する中で、牧田さんはトラック乗りとして生きていこうと決意します。

 牧田さんが21歳のころ、勤務先であった大橋運輸(養老町)の先代社長の紹介で、現在の滋賀県長浜市、旧伊香郡にある伊香しいたけ生産事業共同組合の依頼を受け、椎茸菌床を納める仕事を始めます。
 「当時は、菌床工場から出荷される椎茸菌床を、全国の椎茸組合や生産者に運ぶ仕事をしました。椎茸の群馬や長崎が多かったですが、全国各地いろいろと行きましたよ。沖縄以外は全都道府県全てね。」と当時を振り返ります。

 その後牧田さんは、元請を中心にもっといろんな仕事がしたいと運送会社での勤務を続けながら、平成20年に個人事業「泰心物流」として独立し、貨物軽自動車運送事業と貨物利用運送事業の許認可を取得し自身で運送事業をスタートしました。
 ここまでのお話で、公園遊具の事業につながる土木基礎工事、溶接工としての仕事、運送事業のルーツが見えてきました。

祖父のために立ち上げた株式会社泰心

 株式会社泰心の設立は平成26年のこと、牧田さんが祖父と一緒に会社を起こしたといいます。きっかけは、祖父がもともと不動産事業として長年貸していた工場が空いてしまったこと。空いた工場を何とか活用して、祖父を助けようと牧田さんが起業を持ちかけました。幼少のころ祖父に良くしてもらった記憶が、牧田さんを突き動かせたそうです。
 「会社を立ち上げた後もまだ、会社員としてトラック運送の仕事をしながら、個人事業「泰心物流」として事業を行い、さらに会社の株式会社泰心も一緒に経営していました。でもそのころ、公園の遊具の設置をする事業をスタートしたり、苺を始めたり、事業が少しずつ拡大してきたこともあって、会社として本気で経営を考えないといけないと腹をくくったんです。忘れもしない令和2年、大好きだったトラックの仕事を辞めることを決めたんですよ。」と残念そうに話す牧田さん、よほどトラックの仕事に思い入れがあったことが伝わります。
 その後、泰心物流の運送事業も会社に集約し、株式会社泰心として事業の幅を広げていくことになります。

苺栽培で父のセカンドライフの夢を実現

 ところで苺のルーツは?とお聞きすると「定年退職した父と母がセカンドライフとして『苺をやろうかな』と言い始めたのがきっかけですね。僕は青果業界で運送をしていたこともあって、農家さんの厳しい面もたくさん見てきたので、最初は反対したんですよ。でも父の強い思いもあって、それなら会社としてやろうと決意したんです。」と、苺の生産を始めたきっかけは父・信雄さんと母・いつ子さんの存在だったそうです。

 「苺の栽培を始めたころは、今みたいに就農支援も行き届いていない時代で、地元の農協さんに苺を始めたいがどうしたら良いかと相談しました。そうしたら、『未経験で始めるのは難しいから、まずは農業大学校へ行って学んだほうがいいですよ』と言われてしまって、でも当時の僕にはそんな時間はなく自分で苺栽培のことを調べることにしました。」

 もともと関ケ原町は、苺の栽培に適した土壌ということもあり昭和40年ころから、露地栽培で行ういちご狩りが盛んで、最盛期には観光農園が40軒ほどあったといいます。実は牧田さんの祖父も、いちご狩りの観光農園をしていたこともあるそうですが、株式会社泰心としていちごの生産をスタートするころには、後継者不足の影響もあって残り数軒にまで減っていたそうです。
 「露地栽培では難しいと分かっていたので、別の方法を探していた時に出会ったのが、今うちで採用している『高設栽培』という方法なんです。ただ、岐阜県ではヤシ殻で栽培するのに対して、うちで採用したのは他県の方式で、土壌での栽培。生産マニュアルを他県から取り寄せて読んでみたんですが、ド素人の僕には最初はさっぱり理解できなかったですね(笑)でも、必死に読み込んで詳しい人にも聞いて一から勉強しました。初めてのビニールハウスは専門業者に立てもらって、栽培資材も他県から取り寄せてもらいたいと農協さんに頼み込んでと、とにかくスタートはすごい苦労しましたよ。」と牧田さんは顔をしかめます。

 苦労のすえ、初めて収穫した苺は、大きいものでは卵ほどの大きさになる大粒の苺で、甘さも一般的な苺よりも高い糖度15%、甘みと酸味のバランスが取れた素晴らしいものでした。  初めての収穫のことを覚えていますか?とお聞きすると「苺栽培は花が咲けば7割成功と言われているんです。最初は不安でしたが、初めて苺の花が咲いたときは本当に嬉しかったですね!農協さんに報告すると『良いものができましたね』と認めていただいて無事出荷することができたのを今でもはっきりと覚えています。」と牧田さんは嬉しそうに話します。  その後牧田さんは、関ケ原で生産されたこの特別な苺を「苺福」と名付け、その評判は次第に広がっていきました。今では、関ケ原を代表する特産品として広く認知され、現在はハウス3棟にまで拡大しました。

あの有名パティシエとの出会いで生まれた、Strawberry Farm 苺福の看板商品

 泰心の苺福は、暖房を使わない生産方法のため収穫量が少なく、収穫できるのは12月~5月と限られた期間だけ。年中苺を楽しんでもらえるようにできないかと様々な方法を模索していた際に出会ったのが、岐阜市にある超人気スイーツ店で、なめらかプリンの生みの親といわれるプルシックの所シェフ。その出会いが泰心にとって大きな転換点になりました。

 「ある日会社に戻るとスタッフが騒いでいました。聞けばプルシックからうちの苺をプリンに使用してみたいと電話があったそうなんです。最初は価格の問題もあって洋菓子店には卸さないと決めていたんですが、サンプルでお届けした苺で作った『苺のジュレのみるくプリン』を食べて、うちの苺がこんなに変わるものかと感銘を受けたんです!それだけでなく、所シェフは本当に素晴らしい方で、プリン以上に所さんの人柄に惹かれてしまったんですよ。それから、所さんの監修を受けて苺福のプリンを販売させていただけるようになりました。」と看板商品である苺福みるくプリンの誕生秘話を教えていただきました。

 Strawberry Farm 苺福では現在、苺のジュレを使用した「苺福みるくプリン」、苺ムースを使用した「苺福なごみ」の2商品を展開していましたが、2025年3月には「苺福 極プリン」がラインナップに加わりました。所シェフが監修したカスタードプリンに苺のジュレを載せた新商品で話題となっています。

「山根さんの技術と知恵を若い従業員に伝えたい」と立ち上げた看板事業

 最後に看板事業のきっかけは、令和5年に入社した山根さんだといいます。
 「山根さんはもともと同業である公園遊具の設置や看板を手掛ける会社に勤めていた方で、看板の一級技能士を持った大ベテランなんです。そんな大ベテランな方なのに本当に気さくなんです。例えば普通そんな職人にもなると道具へのこだわりもあるのが普通なんですが、どんな安い道具でも器用に使いこなしていいものを仕上げてしまう人。技術というと聞こえが軽いんですが、なんというか職人としての『知恵』や『技』をたくさん持っている歩く百科事典のような人で、山根さんのその知恵や技を、うちの若い従業員に伝えてほしいという思いを持つようになりました。」と話す牧田さんからは山根さんへの尊敬の念がうかがえます。

 ちょうど前職を退職していた山根さんにオファーをして入社してもらった牧田さん。今の公園遊具の仕事だけでなく、山根さんが持つ看板の技術やノウハウも若手に伝えてもらいたいと、思い切ってインクジェットプリンターなどの設備を導入し、看板事業を立ち上げることにしました。
 事業の立上げから1年今では看板の仕事も少しずつ増え、山根さんも従業員さんから信頼される指導者として活躍しているそうです。

「絶対な人」たちの導きがあってこそ、今の自分がある。

 運送に、公園遊具、苺栽培に、苺のプリン、そして看板に至るまでいくつもの事業を束ねる牧田さん。これまでにどれほどの苦労があったのでしょうか。そんな困難を乗り越えて着実に事業を成長させるなんてすごいことだと感心しました。でも牧田さんはこう話します。
「よく皆さんからすごいねと言われるんですが、ぜんぜん僕の力なんかじゃないんです!僕にとって『この人の言うことは絶対という人』に出会えたからだと思っています。」

「この『絶対という人』というのは言葉で上手く表現できないのですが、まず初めには祖父と両親、そしてトラックの仕事を教えてくれた有限会社大橋運輸の先代社長と現社長、椎茸菌床の仕事でお世話になった滋賀の田辺兄弟、苺の新しい世界を見せてくれたプルシックの所さん、公園遊具事業の足がかりを作っていただいた中部パークシステム㈱の奥田社長、そして看板事業をするきっかけを作ってくれた山根さんたち皆が僕の絶対の人ですね。」

「単に仕事や技術を教えてくれたというわけではなくて、人生の岐路に立った時、つまづいたとき、思い悩んだ時に、最後まで僕の話を聞いてくれて、人として、経営者として、どう判断すべきかをそっと教えてくれるんです。それはこうすべきという究極的な結論ではなくって、どう判断すべきかの普遍的な基準を与えてくれる。あぁこの人達の言葉は絶対だなって思える人、そんな人たち導いてもらえたからこそ、そして設立してからずっといてくれる社員がいたからこそ、今の僕や、今の泰心があると、そう思っています。」

『頼ってくる者を拒むな』『人に笑顔を与えるのが仕事』牧田さんは、そうした絶対な人が残してくれた言葉を、次の世代にも大切に伝えていきたいと話します。

困っている人の助けになりたい。地域で頼られる会社を目指して

 そんな泰心の牧田さんは今後の会社のあるべき姿について「近くにこの会社があって良かったと思ってよかった。困っていたことが解決できたといわれるような、みんなに頼られる会社でありたい」と話します。牧田さんの「困っている人を放っておけない」優しく強い人柄が現れたビジョンであることが感じられます。

 「農業も土木工事業も運送業もどちらかと言えば斜陽産業に当たるかもしれません。例えば農業は一昔前には子にやらせたくないとか、子もやりたくない仕事だったかもしれませんが、今ではもうできない、できる人がいない仕事になりつつあります。そんな中だからこそ、若い子に技術を身に着けてもらいたいと思っています。しっかり身に着ければこの先活躍できると信じているからです。」
 「そのためにも今僕ができることは、見て覚えろという古い考えを捨てて、理屈をしっかり説明すること、そして興味を持ってもらえる面白い仕事に変えていかなければと考えています。そして山根さんのようなベテランが持つ知恵や技を、次の世代に受け継いでいってもらうことが使命だと思っています。」と牧田さんは熱く語ります。

明るく風通しのよい自由な企業風土が泰心の魅力

 そんな泰心の社内には、明るく自由な風通しの良い雰囲気を感じます。「従業員には趣味を持ってほしいと常々言っています。趣味だけでなく恋人や家族との時間を大切にするのでもいいですね。」趣味を持つこと、趣味のために頑張ること、休みを取るために効率的に仕事をすること、休みを取ってストレスをため込まないことが結果的に、社内を自然と良い雰囲気にしてくれると牧田さんは考えます。

 「例えばうちの従業員はみんな『社長!来週釣りに行きたいから休むからよろしく!』とか『彼女と旅行に行きたいから休みます!』とはっきり言ってきますよ(笑)でもみんな、その日に合わせてきっちりと段取りを組んで、手早く効率的に仕事を片付けて全て終えてから休みを取りますし、繁忙期には踏ん張って仕事をしてくれるんです。こういう雰囲気が僕はいいと思いますね。」
 
 重量物を扱う公園遊具や看板、運送の仕事など危険度が高い職種ながら、泰心ではケガなどの事故がないと話す牧田さん。
従業員の皆さんには『できないことは、ちゃんとできないと言え』と日頃から伝えているそうです。安全のためには自分でブレーキをかけられることが大切で、そのためには自分の力量では難しいことをはっきり言える雰囲気が大切と考えています。
「うちの従業員は、今の自分にはこれは難しいから、苦手だから、代わりに社長お願い!と平気で言ってきますね(笑)でもそれが大切なんです。『苦手を克服するくらいなら、得意な部分を伸ばせ』というのが僕の考え方で、従業員にもそう伝えています。」
 牧田さんの話から、そんな社風が社員の皆さんの自主性を高め、これだけのたくさんの事業を支えてくれているそんな風にも感じました。

従業員を募集中!いろんな分野に挑戦し自分にあった仕事を見つけられるかも

 そんな泰心では、公園遊具等の土木工事業や看板事業の拡大に向けて従業員を募集中です。現在は建設現場の作業員と、山根さんのもとで看板デザインを行うスタッフを募集中です。経験のある方は歓迎とのことですが、人材を育成する環境が整った泰心。未経験の方も大歓迎です。
 いろいろな仕事の中から自分の得意分野を見つけ、仕事も趣味も思いっきり楽しめる職場であなたも働いてみませんか?

ロコビズの取材を終えて・・・



 写真は整理整頓が行き届いた作業場と、ピカピカに磨き上げられたまるで新車のような作業車両!聞けば元トラック乗りである牧田さんの習慣とこだわりで、スタッフの皆さんも帰社時には必ず洗車をするそう。従業員の自主性や自由度を大切にしながらも、きちっとするところは、きちっとするという社内風土が根付いた素晴らしい企業でした。
 スーパー多角化企業のルーツに迫れた今回のインタビュー。今後の泰心の事業展開にも目が離せません!

企業情報

株式会社泰心
会社名 株式会社泰心
創業 2008年
設立 2014年
代表者名 牧田匡信
事業内容 建設業(公園遊具の設置)・運送業(信書便)・農業(苺の生産)・製造小売業(苺加工品の製造販売)・製造業(看板の製作施工)
本社住所 岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原1998-12
電話番号 0584-43-5785
役員数 2名
従業員数 10名