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有限会社小川新聞店

  • 設立:1990年
  • 従業員:60名
  • 得意分野:3店舗の新聞販売店運営・新聞配達・歴史グッズの企画、制作、販売・Youtubeチャネル「レキトビラ」の配信
  • 企業HP:https://www.ogawashinbunten.com/
歴史とアイデアで日々進化 日本一、ユニークな新聞販売店

垂井南部エリアで創業、関ケ原・養老にエリアを拡大

 全国の数ある新聞販売店の中でも、おそらく日本一ユニークな新聞店である小川新聞店にお邪魔し、代表取締役の小川一仁さんと、小川千摩さんにお話を伺ってきました。

 小川新聞店の創業は1984年、先代が垂井南部エリアの配達を担う中日新聞の販売店としてスタートしました。当時はインターネット黎明期の直前、新聞の発行部数は年々増加し全国で5,000万部に近い新聞が発行された時代でした。 
 現代表の小川一仁さんは、創業者の娘である小川千摩さんと結婚後、2008年から小川新聞店の経営に従事し、2010年に代表取締役に就任しました。
 その後2018年には関ケ原店、2020年には養老店を引継ぎ、現在は3店舗で新聞配達員50人を雇用しています。

 代表の小川一仁さんに店舗を増やしていった経緯についてお聞きすると「皆さんご存じのとおり新聞離れが進んで発行部数も年々減っている状況です。新聞販売店の後継者問題も深刻になってきて、関ケ原店は以前の経営者が引退した後、中日新聞の販売会社が5年間配達を行っていました。どの販売店も配達員の確保に苦労している中『小川新聞店さんは人の確保が上手だからやってくれないか』と販売会社から後を頼めないか、と声をかけられたんですよ。」と教えてくれました。

 それはきっと社長の経営手腕を見込んでのことだったんですね、とお尋ねすると「いやいや、当時は見栄を張って『出来る社長』を演じていたんですよ、苦労してなかったわけではなくてね」と笑ってその時のエピソードを話します。「他の店舗を引き継ぐケースは、今すごく増えていてよくあることなんです。でも3店舗というのはなかなか無い例とは聞きました。おかげさまでうちは優秀な社員さんにも恵まれて何とか継続できている状況です。」と一仁さん。
 新聞販売店の販売権の承継には、資金や人材確保に管理運営面の問題に加え発行部数の急減という市場環境の中、3店舗を運営するのはきっと大変なこと。それをやってのける小川さんの経営手腕としか言えません。

日本一ユニークな新聞店 その理由はマニアックな歴史グッズ製作にあり

 そんな小川新聞店、ホームページをご覧になった方は既にお気づきのはずですが、ホームページを兼ねたECサイトには「し、新聞店?」と疑いたくなるようなユニークな歴史グッズがずらりと並びます。
 小川新聞店では、10年ほど前から戦国武将のグッズや、歴史グッズの製作を手掛け、好きな武将の家紋にカスタマイズできる商品から、オリジナルの武将ゆるキャラまで約300種類、カスタマイズを含めると約2万パターンの商品を取り扱っています。

 そのユニークさというか、マニアックさが秀逸!例えば、戦国大名の松永久秀が所有した有名な茶釜で、織田信長が幾度も所望するも遂に手に入らなかったとされる『平蜘蛛釜』。この戦国好きには知られた平蜘蛛も、小川新聞店にかかれば、なんと『ぬいぐるみ』になってしまうのです!歴史ファンも驚きのマニアックかつ斬新な発想が話題となり、注文が殺到、慌てて増産したというヒット商品なのです。

 小川千摩さんは「全然マニアックじゃないですよ!平蜘蛛じゃ歴史ファンにはとてもよく知られた存在ですから。あ、でもこれを『ぬいぐるみ』にしようとした人は、たぶんいないでしょね(笑)」と、そういう発想がマニアックなんです!

新聞店から進化を遂げる歴史グッズの制作秘話

 こんなマニアックな商品を思いつくなんて、これはきっと歴史好きに違いない!と社長にお聞きすると「いやいや、今では歴史好きの一人ですが、実は始めたころは特に好きというわけではなかったんですよ、これは必要に迫られて始めたことなんです。」と一仁さんは当時のことを振り返ります。

 「2014年の大河ドラマで岡田准一さんが主演を務めた『軍師官兵衛』に、竹中半兵衛が登場したことがきっかけです。竹中半兵衛ゆかりの地である垂井町に観光客が増える中『観光消費に繋げられるようなグッズが垂井にはない』と、観光協会から相談を受けました。当時私は、観光協会の理事をしていて、誰も作る人がいなかったので、仕方なく私が作ることにしたのが竹中半兵衛の缶バッチでした」
 どうやって作ったんですか?イラストは?とお聞きすると「イラストは私が描きました(笑)缶バッチも外注すると高いので、手動の缶バッチマシンを購入して、がちゃん、がちゃんと手作りしましたよ。駅前で、そこそこ売れましたね。だって競合商品がないから(笑)」と教えてくれました。
 その後、2016年頃からゲームやアニメでヒットした『刀剣乱舞』が女性の間で人気となり、缶バッチを買いに遠くから新聞店を訪れた女性がいたことをきっかけに、小川さんは家紋グッズの製作に力を入れます。

 最初にヒットした商品は、家紋ヘッドフォンのVer.01(※写真はVer.03)。複数の武将の家紋と色の100種類から自由にカスタマイズできるのが特徴で、それまで黒に金の家紋など暗く地味な商品が多い中、カラフルな商品を展開したところ、歴女の間で話題となりました。
ヘッドフォン本体は仕入れるとして、家紋はどうプリントするんですか?と小川さんにお尋ねすると、小川さんはニヤリとし「見てみる?」と、新聞店の2階にある秘密基地に案内してくれました。

 そこにはまさか新聞店と思えないハイテク機器が広がり、UVプリンター、レーザー加工機、ガーメットプリンター、刺繍機などの機械がずらりと並びます。「ぬいぐるみ以外のカスタマイズ加工は全てここでしています。現在は優秀なスタッフが、受注からカスタマイズ、発送作業まですべての工程をこなしてくれています。」と紹介していただいた中嶋さんは入社1年目にして、テキパキと作業を進めます。

社長のノリと勢い、スピーディーな商品開発が掴む、歴史ファンのニーズ

 こんなユニークな新聞販売店を経営する小川社長に、経営理念や大切にしていることは?とお聞きすると「経営理念なんて大そうなことは特に掲げていません。今までノリと勢いでここまで来ましたから」と笑って答えます。「新聞業界をはじめ、未来は不確実で、誰にもどうなるかなんてわからないと思うんです。AIが人間を超えるような時代もきっとくるだろうし、企業の格差もどんどん大きくなる。そんな中で何とかぶら下がって生き残りを図るためには、悩んで決断できないよりも、ノリと勢いでその時求められるものに、素早く反応していくことが大切だと考えています。」と小川さんの考え方をお聞きすることができました。
 「例えばですけど、私は毎週欠かさず大河ドラマを見たあと、X(旧ツイッター)の歴史ファンの反応を見ながら、“これは”と思ったものは、即商品化するようにしています。過去にはNHKエンタープライズに許可を取った上で放送日から4日で商品化したものもあるんですよ」「ま、ヒットすればいいんですけど、ノリと勢いで先走って在庫の山を抱えてしまったこともありましたよ」と笑い飛ばします。
 続いて、今後の目標についてお聞きすると「今までは自分の好きなこと・やりたいことに動かされてここまで来たけれど、新聞業界が斜陽産業になりつつある今、これまで模索してきた歴史グッズをしっかり軌道に乗せて第二の経営の柱になるように成長させたいですね。そして、グッズだけでなく、様々なコンテンツも生み出していきたい。」と話します。

Kindle本「関ヶ原日和: 戦国武将たちの日常」を出版

 そんな小川新聞店ではKindle本の出版を手掛けています。1作目は新聞配達を副業として始めたい人に向けた、新聞配達仕事とノウハウを綴るエッセイ「新聞配達はうわさ通りキツくてツラいのか?」、そして2024年秋には、2作目となる「関ヶ原日和: 戦国武将たちの日常」がリリースされました。
  これらの作品の著者でもある千摩さんは「小川新聞店おなじみのキュートなオリジナル武将達が繰り広げるファンタジーの世界を描いています。戦国武将が、二頭身のかわいいゆるキャラになって、現代に蘇ったらどうなる?という発想をストーリーにしてみました。ほぼ私の妄想なんですけど、しっかり歴史的なエピソードも交えていますし、古戦場記念館や合戦屏風図も出てくるんですよ。漫画と解説付きのエッセイを組み合わせているので、歴史初心者の方にも、歴史ファンの方にも楽しめる内容になっています。」と話します。

Youtubeチャンネル「歴史探訪レキトビラ」で目指す地域貢献

 さらに小川新聞店では、2023年から歴史・戦国に関する動画配信にも取り組んでいます。それは小川新聞店のYoutubeチャンネル、「歴史探訪レキトビラ」です。
 日本の古建築を専門とし、大河ドラマの建築考証なども務める建築学者・三浦正幸先生と、恵那市のフリーアナウンサーで山城好きの西村知穂さんが進行を務める、チャンネル登録者数2.4万人越え(※)の本格的なチャンネルです。※2025年3月時点。
 「スタートから1年で動画数は30本以上、関ケ原町の玉城に始まり、県内のお城のほか、最近では桑名城、彦根城や安土城、姫路城の撮影を終え、今後は全国へ広げていこうと考えています。」「大変嬉しいことに、取材後に取材した市町村や観光協会の方から、オリジナルの歴史グッズを制作してほしいとのご依頼を頂いて、歴史グッズを制作して納めさせていただくことも増えてきました。」
 ところで動画の撮影や編集はもちろんプロに依頼しているんですよね?と小川さんにお尋ねすると、またニヤリととし「全部自前だよ、見てみる?」ということで、本格的な撮影機材と編集ソフトでの編集作業の様子も見せていただきました。

「撮影や動画編集は独学で学びました、Adobeの製品はイラストレーターで経験があったので経験も生かして割とすんなりできました。動画撮影も動画編集も奥が深くて、欲が出て、でもどれだけも時間がかけられないから毎日葛藤しています」と小川さん。
 「今後は、これまでに培った動画のノウハウを活かして、近隣企業の企業紹介動画や求人募集動画の撮影の仕事にもチャレンジしていきたい」と話します。

レキトビラの取材に協力いただける自治体や観光協会を募集中!

 様々な展開を目指す小川新聞店では、Youtubeチャンネル「歴史探訪レキトビラ」の取材に協力いただける自治体様や観光協会様を募集中です。
 「少しずつチャンネル登録者数も伸びていますし、『歴史探訪レキトビラ』を通じて、垂井町や関ケ原町などと同じように、歴史で町おこしをしたい。でもどう発信すればよいだろうか、と悩みを抱えている地域の皆さんに対し、少しでもお力になれればと考えています。新聞販売店というメディアの一旦を担うものとして、今後も情報発信に携わっていきたいと考えています。」「単にYoutubeで紹介するだけでなく、その地域と歴史にちなんだオリジナルグッズやお土産の企画・制作もさせていただくことで、観光消費にも貢献できますので、是非お声がけいただけると嬉しいです」と小川さんは意気込みを語ります。
 是非一度、小川新聞店のホームページ・公式XにKindle本、そして今イチオシのYoutubeチャンネル「歴史探訪レキトビラ」をチェックしてみてくださいね!

企業情報

有限会社小川新聞店
会社名 有限会社小川新聞店
創業 1984年
設立 1990年
代表者名 小川一仁
事業内容 新聞販売配達、歴史グッズの企画・制作・販売、Youtubeチャネル「レキトビラ」の配信
本社住所 岐阜県不破郡垂井町宮代2904-1
電話番号 0584-23-3001
役員数 2名
従業員数 60名