株式会社オーツカ
設立:
従業員:300名
得意分野:自動車内外装素材などの不織布製造
企業HP:https://www.otsukacorp.co.jp/

不織布製造のパイオニア、技術革新で時代のニーズに合った製品を開発
株式会社オーツカは本社を笠松町に、製造拠点を関ケ原町と各務原市におく、不織布を製造する企業です。自動車内外装素材の不織布としては、トヨタをはじめ国内すべての自動車メーカーに採用されており、そのシェアはなんと約25%!つまりおよそ4台に1台の車にオーツカの製品が使われていることになるのです。
今回はそんなスゴイ会社のメイン工場である関ケ原工場へ伺い、総務部副部長の豊田さんと、製造部副部長の江崎さんにお話しを伺いました。
株式会社オーツカは1947年に初代創業者である大塚重信氏が紡績工場を設立し、その後時代の変化に合わせ技術革新を果たし不織布製造へ特化していきました。
「不織布の製造はインテリアカーペットからスタートしています。O・I・Cと呼ばれるニードルパンチカーペットの製造技術を日本で初めて確立し、その素材は1970年に開催された大阪万博にも使用されたそうです。そして、次に取り組んだのが自動車用のフロアカーペットで、おそらく日本で初めて採用されたのが、日産のサニーでした。実はこのサニーにはオーツカが開発製造した不織布が使われていたんです」と豊田さんが誇らしげに教えてくれました。
「現在は主に、フロアカーペット、天井、トランクなどの内装のほか、フェンダーライナーやエンジンアンダーカバーなどの外装、さらにフリクションプレートというトランスミッションの部品にも使われています。」
ところで不織布って?どう作るの?
不織布は文字通り『織らない布状のもの』を指します。例えば衣服に使われる布は長い糸を織ったり編んだりして作られるのに対し、不織布は短い繊維を絡ませたり、熱融着したりすることで製造する布を指します。その製造工程について、製造部の江崎さんに教えていただきました。
「不織布の原料は主にポリプロピレンやポリエステルなどのプラスチック繊維です。最初は綿状ですが、不織布製造に欠かせないニードルパンチという技術を用い、綿を無数の針で刺すことで繊維が絡み合っていきます。生け花の剣山をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれませんね。この針にも工夫があって、針に返しのようなものがついていて、さすと繊維が押し込まれ、抜くときにはすっと抜けるような工夫がされています。」と用途によって違う何種類もの針のサンプルを見せていただきました、が流石にこれは企業秘密ということ。
「では行きましょう!」ということで江崎さんに、実際に工場も見せていただきました。
「関ケ原工場にはいくつも建屋があるんですが、ここでは最初から最後までの工程を、一つの製造ラインで完結できる工場となっているんですよ」と江崎さんにひとつひとつの工程をご案内いただきました。工場内には大型の設備が並び、綿状の繊維を、混ぜる、薄く延ばす、折りたたんで重ねる、針を刺して絡ませる、加熱・乾燥させる・巻き取るといった工程を経て、自動で不織布が作られていきます。
製造業=手作業といった印象もありますが、まったく違うんですね、と江崎さんに尋ねると「この製造ラインはほぼ全て自動化されているので、作業スタッフは、製造ラインを監視し製品の種類や状態に応じて機械を操作しています。材料の投入と最後の検査は人が行いますが、単に自動車用の不織布といっても、納品先に応じてすべて仕様が異なる上、近年は品質の要求度も高いので重要な仕事といえます。」
カイゼン提案も楽しみながら、切磋琢磨できる社風
株式会社オーツカは3代目の社長である大塚有企朗さんが率います。社長はどんな方ですか?と豊田さんにお聞きすると「社長らしくない社長というと語弊があるかもしれませんが、本社からやってきては、作業服を着て、広い工場内を隈なく歩いて従業員に話かけています。朗らかで、話しやすく、何でも相談できる社長です。」「実は学生時代に鳥人間コンテストのパイロットだったとか、きっとものづくりが大好きなんだと思います。」続いて堀さんは「従業員も300名近くいますが社長の顔を知らない従業員はいないと思います。若手も社長に対して冗談交じりに話しかけても、受け入れてくれる優しい社長です。」と大塚社長に親しみを感じます。
「でも、やらないと怒られますね。なんでもやってみよう、チャレンジしてみようという社内の雰囲気があります。同じ失敗をするならやらずに失敗をするよりも、やって失敗して、そこから学ぶことを重視されますね。結果よりも、どう考えて取り組んだのかというプロセスを評価されます。」と豊田さんがオーツカの社風を教えてくれました。
そんなオーツカでは、従業員によるカイゼン活動を重視しています。従業員自らが取り組んだカイゼン活動の効果を会社に報告・評価される制度があります。
「ノルマはないんですよ、QCDに関する改善にも安全であるかは絶対条件で、特に安全の工場につながる取組もしっかり評価してくれます。評価されることがうれしくてみんな自主的に取り組んでいます。」と豊田さん。
オーツカではQCサークル(小集団活動)にも積極的で、優れた省エネ活動を実践した企業に贈られる「省エネ大賞」を2021年、名だたる大企業のなか唯一中小企業が授賞したのは、そうオーツカでした。大規模な設備投資を伴わない地道な小集団活動による省エネへの取り組みが大きく評価されました。
フェンダーライナーでトップシェアを狙え!
そんなオーツカが現在力を入れているのは、自動車のタイヤハウスに使用するフェンダーライナーの素材製造です。通常は樹脂製ですが、オーツカではその代替品として不織布によるフェンダーライナーを国内でいち早く手がけました。
「これもおそらく日本初ですが、弊社製品が不織布のフェンダーライナーとして、初めてセルシオに採用されたんですよ。その後はレクサスなどの高級車に広がって、現在ではプリウスなどの一般車にも広がっているんですよ」と豊田さんは話します。
続いて江崎さんがその開発エピソードについて教えてくれました。「当時、初めて取引先にお話ししたときには、外装に不織布?ゴミがつくんじゃないの?と反対意見もありました。でもそれよりも軽さと吸音性に優れていたんです。通常の樹脂製だと素材の密度が高いためフェンダーライナーに石が当たるとコツコツと音が大きく響きます。一方で不織布には繊維の間に空洞があるため吸音効果が大きいという特長があります。今では、タイヤの騒音やタイヤが巻き上げる小石や水がタイヤハウスに当たる音を押さえ車内を静かに保てると採用する車両が増えてるんですよ。」
そんな需要の拡大を受けオーツカでは、フェンダーライナー用の不織布製造ノウハウを強みに、更なるシェア拡大・採用車種の拡大に向けて、製造ラインを増設に取り組んでいます。
関ケ原の製造拠点で、事業拡大に一緒に取り組んでくれる人材を募集中
現在、オーツカでは次の職種の募集を行っています。
①総合技術職
製品の開発試作、工程設計、DXに向けたインフラ・システム構築
②生産技術職(保全)
生産管理・機械保全等生産に係る業務
③生産技術職(製造)
不織布製品の製造(材料調合、機械監視・操作)業務
④生産技術職(検査)
製品検査に係る業務
①の職種、応用科学部出身の大学新卒や中途採用に力を入れており、②~④の職種では高卒・大卒をはじめパートの採用に取り組んでいます。
豊田さんは「総合技術職では、県外出身者も多く活躍しています。家賃補助を行っているので近くにアパートを借りて住んでいる従業員も多いですよ。オーツカがある関ケ原町の今須地区は自然豊かな里山風景が残り、空き家も多いので田舎暮らしにあこがれる方にピッタリかもしれません。」「私自身は岐阜市より東から通勤していますが、高速道路通勤もOKなので、関ケ原インターも近く通勤も快適です」と関ケ原で働く・魅力についても教えてくれました。
従業員インタビュー「父の背中を見てオーツカに入りたいと決意」
入社8年目の堀さんはオーツカに勤めるお父さん背中を追って入社したそうです。「もともと製造業に興味があったのですが、オーツカで活き活きと働く父の姿を見て、オーツカで働きたいと入社しました。自分の背丈の3倍もある大きい機械が製品を製造してくれるので、基本的は機械のオペレーションを行うのが製造職の仕事です。機会が勝手に作ってくれるように思いますが、その日の気温や湿度など様々な条件から最適な設定値を決めるのはまさに職人技で奥深さを感じます。最初のころは先輩に相談したり、家で父に相談下ながら必死に覚えました。」「製造職というと繰り返しの作業が多いイメージですが、不織布製造の仕事は職人仕事、機械操作の合間には手が空くのでカイゼンできる点はないか、考える時間もとても充実しています。」と製造業とオーツカの魅力を話します。
特性に合った部署やプロジェクトで従業員の個性を活かす
オーツカでは従業員個々の特性を伸ばすことにも積極的です。
堀さんはもともと製造部に所属していましたが、入社8年目にして総務部に異動になりました。「SNSや情報発信が得意なことを周りに認められて、社長面談の結果、今は総務部で人事や広報の仕事に携わっています。オーツカの知名度は低いですがとても素晴らしい企業、そんなオーツカのブランド力と知名度を高め、若い人にも関心を持ってもらえる会社にできるよう取り組みたいです。」と意気込みを教えてくれました。
また過去には、当時専務であった大塚社長を中心に、自社のOICカーペットを応用して、ペット用品を開発するプロジェクトが行われました。プロジェクトメンバーは女性従業員が中心となり、カラフルな色合いと優しく柔らかな形状のネコハウス「にゃろにも」が生まれました。
「強度のある不織布なので猫が爪を研いでもボロボロにならないし洗濯ができるという特徴があります。」「女性目線の「かわいい」を追求してこの愛らしいデザインの製品ができあがったんですよ。男性の技術職だと、構造が!とか強度!とかうるさく拘ってしまうんですけどね」と豊田さんが笑いながら当時の開発秘話を教えてくれました。
現在、40代が中心に活躍する株式会社オーツカ。今後は20代~30代の若手従業員の採用に力を入れてきたいと取り組んでいます。ものづくりに関心のある方、オーツカで自動車産業に携わる、誇れる仕事をしてみませんか。